高次脳機能障がいとは?

交通事故や脳卒中によって脳に傷がついた場合、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの能力に障害が生じることがあります。生じた症状のことをまとめて高次脳機能障害と言います。

こんな症状が目立ちませんか?

注意障害

  • 見落としが増えた 細かい所に気付けない
  • 一つのことに集中できない 落ち着きがなくなった
  • 同時に複数の作業をすることができず、混乱しやすくなった
  • 左側の物に気付きにくくなり、左側にあるものにぶつかってしまう

記憶障害

  • 新しいことを覚えられない
  • 同じ事を何度も繰り返し聞いてくる

遂行機能障害

  • こうしたらどうなるかなど、先のことを予測することができない
  • 段取りをつけられず、行き当たりばったりの行動が増えた
  • 効率よく作業を進めることができない

社会的行動障害

  • 後先考えずに思いついたことをしたり、言ってしまう
  • ちょっとしたことで怒ってしまう
  • あればあるだけ食べたり、お金を使ったりする
  • 態度や行動が子供っぽくなり、すぐに他人のせいにする
  • その場の空気を読むことができない

高次脳機能障害には様々な症状が含まれています。現れる症状の種類や程度には個人差があり、多くの場合、複数の症状が同時に出ています。現れた症状によっては、今までの生活を送ることに困難を感じることがあるかもしれません。目標にあわせた支援を受けたり、対処法を獲得することが必要です。

高次脳機能障がいの問題点

体に障害はない方も多くいます。その場合、外見からは障害があるとは分りにくく、その言動から誤解を招くことが多くなってしまいます。

自宅で身の周りのことをすることについてはそれほど問題がなくても、職場・学校・外出先等の社会的な場面で問題が生じることが多くあります。

障害の認識がない方も多いため、自分には周囲の援助が必要だということも認識できない方が多くいます。

身体障害がない方は身体障害者手帳が取得できません。

しかし精神保健福祉手帳が申請でき、取得される方が増えています。 また、障害者総合支援法の施行により、法律上は3障害(身体・精神・知的)共通でさまざまなサービスが受けられる方向に進んでいます。

しかし、どの施設どの事業所でも高次脳機能障がいに合った対応が受けられるというわけではないのが現状です。

高次脳機能障がいの診断

高次脳機能障害診断基準

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 国立障害者リハビリテーションセンター

「高次脳機能障害」という用語は、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、 この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。

一方、平成13年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において集積された脳損傷者のデータを慎重に分析した結果、 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する一群が存在し、 これらについては診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立しておらず早急な検討が必要なことが明らかとなった。

そこでこれらの者への支援対策を推進する観点から、行政的に、この一群が示す認知障害を「高次脳機能障害」と呼び、 この障害を有する者を「高次脳機能障害者」と呼ぶことが適当である。その診断基準を以下に定める。

診断基準

I.主要症状等

  1. 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
  2. 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。

II.検査所見

MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。

III.除外項目

  1. 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。
  2. 診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
  3. 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。

IV.診断

  1. I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
  2. 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
  3. 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。

なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。 また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。

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